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先に正直に書いておきます。私は看護師として16年、急性期の内科病棟から訪問看護まで現場を歩いてきましたが、保健室の先生(養護教諭)としても、学校の医療的ケアを担う学校看護師としても働いた経験はありません。ですので、この記事は実体験ではなく、①調べた事実、②その道に進んだ看護師仲間から見聞きしたこと、③人を採用し面接してきた立場からキャリアを見てきた、という3つの視点で書きます。ここは背伸びせずにお伝えします。

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まず結論:「養護教諭」と「学校看護師」はまったく別の職業です

「看護師の資格を活かして学校で働きたい」と考える人が最初につまずくのが、この2つの混同です。名前も現場も似ていますが、資格・採用・立場が根本から違います。ここを外すと道を間違えます。

養護教諭(保健室の先生) 学校看護師(医療的ケア児対応)
立場 教育職員(学校の先生)。公立なら地方公務員 医療従事者。会計年度任用・非常勤・委託が多い
必要資格 養護教諭免許状が必須。看護師資格「だけ」ではなれない 看護師(准看護師)免許で就ける場合がある。専用の追加資格・試験は不要
採用 公立は教員採用試験に合格が必要 求人へ応募(自治体の登録制度・学校法人・委託会社など)
対象 全校の児童生徒の健康管理・保健教育・心のケア 医療的ケアが必要な特定の子ども

一言でいうと、「養護教諭になりたい看護師」は免許取得と採用試験という長い道が要ります。一方で「看護師資格を学校で活かしたいだけ」なら、看護師免許でエントリーできる学校看護師(医療的ケア)という道があります。「看護師 保健室 なりたい」で調べている方の多くは、免許が別に要ると知らない——まずここを押さえてください。

どんな仕事か

養護教諭(保健室の先生)

児童生徒の健康管理・健康教育・心のケアを担う教育職員です。保健室運営、けがや体調不良の一次対応、健康診断の計画から事後措置、保健だよりや保健指導、そして不登校やいじめ・悩みへの対応まで。近年はメンタルケアの窓口としての比重が増しているとされます。医療というより「教育」の職で、授業や書類など看護とは異なる業務がある点は理解しておきたいところです。

学校看護師(医療的ケア児対応・多くは特別支援学校)

経管栄養や気管内吸引、人工呼吸器などのケアを受けながら学校生活を送る子どもを支えるのが主な仕事です。入学前カンファレンスでケア方法や急変対応マニュアルを保護者・教員と確認し、バイタル測定、喀痰吸引、呼吸器管理、血糖測定、経鼻経管栄養、ストマ管理、導尿、服薬管理などを行います。けいれん発作・低血糖・アナフィラキシーなどへの素早い救急対応も求められ、かかりつけ医や放課後等デイサービスとの連携も担います。

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働き方(夜勤・休み・退勤時間)

どちらにも共通する魅力は、学校暦(カレンダー)で動くことです。基本は日勤のみで夜勤なし、土日祝や夏休みなどの長期休暇が休みになりやすい。夜勤で生活リズムを削ってきた人にとっては、ここが一番大きい違いだと思います。

養護教諭は常勤が基本で、健康診断シーズンや学校行事は繁忙になり、行事・部活対応が発生することもあります。学校看護師は非常勤・パートが多く、児童の下校時間に合わせて15〜16時ごろ退勤する形が典型で、下校時間が固定のため基本的に定時退勤しやすいとされます。特別支援学校の勤務例では、8時出勤・8時半朝礼、午前中に医療的ケア、昼休憩をはさんで午後のケア、15時半に物品消毒や洗濯、16時退勤、という一日です。

給与の傾向 ※あくまで傾向。自治体・雇用形態で大きく変わります

養護教諭のうち公立は地方公務員として各自治体の給料表に基づいて支給されます。媒体データでは初任給(小中・大卒)が約209,000円前後、20代の手取りが月20〜25万円程度とされます。平均年収は媒体によって約356万円(私立・非常勤を含む民間求人ベース)から650万円前後(公立小中の試算)まで大きく開きがあり、公立常勤か・私立か・非常勤かで別物です。単一の数字を鵜呑みにせず、「公務員として安定・昇給が見込める」という傾向でとらえるのが安全です。

学校看護師(医療的ケア)は採用のほとんどがパートタイム・日勤のみ。日本看護協会調査ベースの時給分布では1,500〜2,000円未満が45.8%で最多、平均時給は1,583円とされます。夜勤ありの病棟に比べると給与は下がる傾向で、収入を重視するなら常勤枠を探すことになります。

向いている人・しんどい面

看護師から養護教諭になった人の体験談(note)には、こんな声がありました。「看護師はその日決められたことを時間に追われながらこなしていきますが、養護教諭はそもそもそこにゆとりがあります」「週末に2連休が必ずあります。これがこんなにもモチベになるなんて看護師時代の私は知りませんでした」。時間に追われる働き方から抜けたい人には合う世界だと感じます。

一方でしんどい面も正直に。養護教諭は多くの学校で1人配置で、判断も対応も一人で背負います。東洋経済は「『1人勤務』の養護教諭、命に関わる緊迫感の中で増え続ける業務に負担大」と報じています。「養護教諭が休むと保健室を閉めることになる」ため休みにくい、という指摘もあります。学校看護師は非常勤で収入が下がりやすく、医師が常駐しない環境での単独判断・急変対応の責任、会計年度任用など雇用が不安定になりやすい点が課題です。

資格・なるための注意点

養護教諭は看護師免許「だけ」ではなれません。必須は養護教諭免許状の取得と、公立なら教員採用試験の合格です。看護師からの主なルートは、(1)国立大学の特別別科(養護教諭養成課程)で最短1年・一種免許、全国に約6校、(2)通信制大学(聖徳大学など)、ただし実習先を自分で開拓する必要がある点に注意、(3)保健師免許を経由し憲法・英語・体育・情報の4科目8単位で二種、といった道があります。知恵袋のベストアンサーでは「看護師から一種取得なら国立大学の特別別科一択」とされ、通信は実習先の自己開拓を理由に慎重な声もありました。公立の教員採用試験では自治体によって看護師免許所持者への加点・一部免除がある場合もあります。

学校看護師(医療的ケア)は専用の資格・試験は不要で、正看護師または准看護師免許でエントリーできる場合があります。ただし現場では判断力が要るため、一定の臨床経験を応募条件とする求人が一般的です。自治体が医療的ケア看護師の登録制度を設けている例(長野県・埼玉県など)もあります。

締めに

採用する側を長くやってきた立場で言えば、この分野は「どちらの道を選ぶか」で必要な準備がまるで変わります。免許を取って先生になるのか、看護師免許のまま学校の現場に入るのか——ここを最初に決めるだけで、遠回りをかなり減らせます。給与や倍率、登録制度は年度と自治体で動くので、気になった方は求人を扱うエージェント等で実際の条件を確認してみるとよいと思います。
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