
ヘルパーから始まった私が、いま障害福祉の事業所をやっている話
私はもともと、介護のヘルパーとしてこの世界に入りました。最初は資格も経験もなく、先輩について家に上がらせてもらうところからのスタートです。利用者さんと関わるうちに「もっと体のことを判断できるようになりたい」と思うようになり、そこから看護師を志して資格を取りました。急性期の病棟、市民病院の外来、訪問看護の立ち上げ、精神科の訪問看護と、看護師として16年ほど現場を歩いてきました。
そして今は、大阪府柏原市で訪問看護ステーションと、居宅介護・重度訪問介護の障害福祉事業所を自分で立ち上げて運営しています。つまり私は「ヘルパーの入り口」も「その先の道のり」も、両方を自分の足で歩いてきた人間です。この記事では、障害福祉のヘルパーという仕事について、経営する側からではなく、まず現場を知っている先輩として正直にお話しします。良いところも、しんどいところも、どちらも隠さず書くつもりです。
障害福祉のヘルパーとは
ヘルパーというと、多くの人は高齢者介護をイメージすると思います。障害福祉のヘルパーは、支える相手が「障害のある方」になります。身体障害、知的障害、精神障害と、対象は幅広く、支援の中身もその人によってかなり変わります。
高齢者介護との一番大きな違いは、利用者さんの年齢層です。障害福祉では20代や30代、まだお若い方も少なくありません。だからこそ、関わりが長期になりやすいのも特徴です。高齢者介護のように状態の変化が早いというより、その人の暮らしに何年も寄り添っていくイメージに近いです。「介護」というより「その人の生活のパートナー」という言い方のほうが、しっくりくる場面が多いように思います。
居宅介護と重度訪問介護、この二つの違い
障害福祉のヘルパーの仕事は、大きく「居宅介護」と「重度訪問介護」に分かれます。名前は難しく聞こえますが、構造を知るとそんなに複雑ではありません。
居宅介護
居宅介護は、比較的短い時間で入るサービスです。食事や入浴、排せつなどの身体介護や、掃除・洗濯・調理といった家事援助が中心になります。「決まった時間に来て、必要な支援をして帰る」という、高齢者のヘルパーに近い働き方をイメージするとわかりやすいと思います。
重度訪問介護
重度訪問介護は、重い障害のある方に対して、長時間まとめて入るサービスです。身体介護や家事援助に加えて、「見守り」が支援の中に含まれているのが大きな特徴です。何かあったときに動けるようそばにいる、という時間も支援として成り立ちます。数時間、場合によってはもっと長く一人の方に寄り添うので、居宅介護とはリズムがまったく違います。どちらが向いているかは本当に人それぞれで、事業所によって扱っているサービスも異なります。
1日の働き方の例
働き方は、思っているより柔軟なことが多いです。事務所に集合してから、というより、自宅から利用者さんのお宅へ直行し、終わったらそのまま直帰、という直行直帰のスタイルが一般的です。
訪問と訪問の間に空き時間ができることもあり、その時間の扱いは事業所によって考え方が分かれます。副業や家庭と両立している方も多く、「週1日、この曜日のこの時間だけ」といった入り方から始める人もめずらしくありません。まず短い時間で一件から慣れていき、自分のペースがつかめてきたら少しずつ本数を増やす。そういう入り口を用意している事業所が多い印象です。
資格と時給の関係
この仕事は、資格の段階によってできることと待遇が変わっていきます。ざっくり言うと、介護職員初任者研修から始まり、実務者研修、そして介護福祉士という順に、任される支援の幅が広がっていきます。
- 初任者研修:まずここから。身体介護に入るための基本の資格です
- 実務者研修:より幅広い支援に対応でき、次のステップにもつながります
- 介護福祉士:国家資格。専門職としての信頼が大きく変わってきます
資格が上がるほど、時給や手当も上がっていく傾向があります。ただ、具体的な金額は地域や事業所、サービスの種類によってかなり差があるので、ここで断定的な数字は書きません。実際の相場感は、お住まいのエリアの相場をまとめた記事のほうが正確です。まずは自分の地域の水準を確認してみてください。
この仕事の良さと、しんどさ
良いところから言うと、やはり関係が深くなることです。同じ方に長く関わるので、少しずつ信頼が積み上がっていきます。最初は緊張していた方が、こちらを待っていてくれるようになる。その変化に立ち会えるのは、この仕事ならではの喜びです。
一方で、正直にしんどい面もあります。訪問は基本的に一人で入るので、その場の判断を自分でしなければならない不安があります。慣れないうちは「これでよかったのか」と迷うことも多いです。利用者さんの人生の一部を預かる責任は、決して軽くありません。ここを軽く見せて誘うようなことはしたくないので、はっきり書いておきます。ただ、その不安は一人で抱えるものではなく、事業所の支え方でずいぶん変わる部分でもあります。
ヘルパーから先のキャリア
ヘルパーは入り口であって、そこで終わりではありません。経験を積むと、サービス提供責任者という、支援の計画やヘルパーの調整を担う役割に進む道があります。現場と運営の間をつなぐポジションで、ここを目指す方は多いです。
さらにその先は、人によって本当にさまざまです。私自身がそうであったように、看護の道へ進む人もいますし、私のように事業所の運営や経営に踏み込む人もいます。ヘルパーで得た「人の暮らしを間近で見てきた感覚」は、どの道に進んでも土台になります。私がいま経営者として一番大事にしている感覚も、結局はヘルパー時代に身についたものです。
よくある質問
Q. 未経験でも、いきなり障害福祉のヘルパーから始められますか
始められることが多いです。初任者研修を取りながら、あるいは取ってから入る方が一般的で、最初は先輩に同行して覚えていく形が多いです。高齢者介護から障害福祉へ移る方も珍しくありません。共通する部分はありますが、対象や関わり方は変わるので、そこは新しく学ぶつもりでいると入りやすいと思います。
Q. 重度訪問介護は、未経験だと難しいですか
いきなり長時間の支援は不安が大きいので、まずは居宅介護で経験を積んでから、という進み方をする人が多い印象です。ただ事業所の育て方によっては、早めに重度訪問介護に入る道もあります。ここは本当に事業所次第なので、面接のときに「どう育ててもらえるか」を聞いてみるのがいいと思います。
まとめ
障害福祉のヘルパーは、高齢者介護とはまた違う、長く深く人と関わる仕事です。居宅介護の短時間の支援から入る道もあれば、重度訪問介護で長く寄り添う道もあり、資格を重ねれば任される幅も待遇も変わっていきます。一人で入る不安や責任は正直にありますが、その分だけ得られるものも大きい仕事だと、ヘルパー出身の私は思っています。もし少しでも気になっているなら、まずは週1日、一件からで十分です。時給の相場はお住まいのエリアの記事で確認しつつ、自分に合いそうな事業所をのぞいてみてください。
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