精神科訪問看護のリアル|1日の流れ・向き不向き・病棟との違い
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はじめに:訪問看護をやってきた私が、精神科の訪問をどう見ているか

私は介護のヘルパーから働き始めて、現場で看護のことをもっと知りたくなって看護師になりました。急性期の病棟から始まり、市民病院の外来、内科系の訪問看護ステーションの立ち上げ、それから精神科病院の運営する訪問看護、民間の精神科特化型の訪問看護と、いろいろな場所を歩いてきて、今は大阪府柏原市で自分の訪問看護ステーションと障害福祉の事業所を運営しています。

精神科の訪問看護って、外から見ると「大変そう」「怖くないの?」と思われがちなんですが、実際に働いてみると病棟とはまったく違う仕事でした。この記事では、興味はあるけど一歩踏み出せない看護師さんに向けて、良かった面も、正直しんどかった面も、両方書いておきます。

仕事内容と1日の流れ

まず身体介助はほとんどありません。オムツ交換や入浴介助といった、病棟でイメージするような身体的なケアが仕事の中心になることは少ないです。じゃあ何をしているかというと、多くの時間は「対話」です。

1日の訪問件数は事業所によりますが、4〜6件くらいで組むところが多い印象です。1件あたり30分〜1時間ほど。バイタルを測って、服薬の状況を確認して、あとはご本人の話を聞く。眠れているか、食べられているか、最近しんどいことはなかったか。そういう会話の中から状態の変化を拾っていく仕事です。

1日の流れの一例

  • 朝、事業所に集まって申し送りと訪問ルートの確認
  • 午前2〜3件、午後2〜3件を車や自転車で回る
  • 訪問の合間や終わりに記録をつける(ここが地味に時間を取ります)
  • 状態が気になる方は主治医や相談員に連絡・情報共有

移動が仕事に含まれるので、天候や渋滞に左右されるのは訪問看護共通のところです。運転が苦にならない人のほうが向いていると思います。

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病棟との違い

一番大きいのは、その場に一人だということです。病棟なら隣に先輩がいて、迷ったらすぐ相談できますが、訪問は基本一人で伺って、一人で判断する場面が多い。「今日はいつもと様子が違うな」と感じたときに、様子を見るのか、主治医に連絡するのか、その判断を自分でしないといけません。ここに手応えを感じる人と、不安を感じる人に分かれます。

主治医や関係機関との距離感も違います。病棟だと医師がすぐ近くにいますが、訪問だと電話や書面でのやりとりが中心になります。相談支援専門員、行政、ご家族など、関わる人の幅が広いのも特徴で、連携の力が求められます。

夜勤はありません。その代わりにオンコールがある事業所が多いです。夜間や休日に電話が入る可能性がある、という拘束が夜勤に代わるものだと考えるとイメージしやすいと思います。頻繁に呼ばれるわけではないことが多いですが、電話が鳴るかもしれないという緊張感は人によって負担の感じ方が違います。

給与の構造

給与は事業所によって差が大きいので具体的な金額はここでは書きませんが、構造として知っておいてほしいのは、夜勤がない分、夜勤手当が乗らないという点です。病棟で夜勤をがっつり入れて稼いでいた人からすると、額面の見え方が変わることがあります。

その代わり、基本給を高めに設定している事業所や、オンコール手当・訪問件数に応じた手当を用意している事業所もあります。トータルでどうなるかは働き方次第なので、気になる方はエリア別の相場をまとめた記事を別に用意していますので、そちらも合わせて見てもらえたらと思います。

向いている人・しんどい人

正直に書きます。向き不向きははっきり出る仕事だと思います。

  • 向いている:人の話を聞くのが苦にならない、じっくり関わりたい、自分のペースで動きたい、一人での判断に手応えを感じる
  • しんどいかも:処置や技術で手を動かすことにやりがいを感じる、一人で抱えるのが不安、すぐ相談できる環境がないと落ち着かない

対話が中心なので、すぐに結果が見えないことも多いです。関わって半年、1年と経ってようやく変化が出てくることもある。そういう時間軸を「面白い」と感じられるかどうかが、続くかどうかの分かれ目になっている気がします。

未経験からの入り方

「精神科の経験がないから無理」と思っている方が多いのですが、実際には精神科未経験から始める人は珍しくありません。多くの事業所では、いきなり一人で回すのではなく、先輩と一緒に同行訪問から始めて、少しずつ自分の担当を増やしていく形をとっています。

病棟で培った観察力やコミュニケーションは、そのまま活きます。むしろ、身体面をきちんと見られる看護師は精神科訪問でも重宝されます。心配な方は、面接のときに「同行期間はどれくらいか」「一人立ちまでの流れ」を聞いてみると、その事業所の育てる姿勢が見えてきます。

よくある質問

Q. 利用者さんとの関わりで、危ない目にあうことはありませんか?

ゼロとは言いません。ただ、事業所として訪問前の情報共有や、状況によっては複数名での訪問、緊急時の連絡体制を整えているところが多いです。一人で抱え込まず、チームで対応する仕組みがあるかどうかは、事業所選びで確認しておきたいポイントです。

Q. 記録や事務作業は大変ですか?

正直、記録は軽くありません。訪問のたびに書きますし、報告書の作成もあります。ここを負担に感じる人はいます。最近はタブレットやアプリで効率化している事業所も増えているので、その環境も見ておくといいと思います。

まとめ

精神科の訪問看護は、身体介助よりも対話が中心で、一人で判断する場面が多い、病棟とはかなり毛色の違う仕事です。夜勤がない代わりにオンコールがあり、給与の構造もそこに紐づいています。人とじっくり関わりたい人には向いていますし、すぐ相談できないと不安な人にはしんどく感じるかもしれません。

私自身、いろいろな現場を経て今は運営する側になりましたが、精神科の訪問で得た「待つ力」「聞く力」は、どの立場になっても財産になっています。興味がある方は、まず同行訪問を受け入れてくれる事業所を探して、現場の空気を一度感じてみてほしいと思います。

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