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先に正直に書いておきます。私自身は緩和ケア病棟やホスピスの現場で働いた経験はありません。私のキャリアは看護師16年、急性期の一般内科病棟(三交代)から始まり、市民病院の外来、その後は内科系の訪問看護から精神科訪問看護へと進み、自分でも訪問看護ステーションやヘルパー事業所を立ち上げてきました。在宅での看取りや緩和には深く関わってきましたが、「緩和ケア病棟」という専門部署の中で働いたわけではない。だからここでは、私が調べた事実、その道へ進んだ看護師仲間から見聞きしてきたこと、そして人のキャリアを採用側として見てきた立場から、できるだけフラットに書きます。

結論から言うと、緩和ケアは「一人の患者さん・ご家族にじっくり関わりたい人」に向いた領域です。ただし死と向き合い続ける重さは本物で、光と影の両方を知ってから選んでほしい仕事です。

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どんな仕事か

緩和ケアは、生命を脅かす疾患(主にがん)を抱える方の、身体・精神・社会・スピリチュアルの4つの苦痛をやわらげ、QOL(生活の質)を保つケアです。治すための積極的な医療より、痛みや不快な症状を和らげるケアが中心になります。

具体的な役割としては、モルヒネなどの医療用麻薬を含む鎮痛薬の管理と疼痛・症状コントロール、不安や喪失感を傾聴する心理的支援、管理栄養士と連携した栄養管理、口腔ケアや排せつ介助などの日常生活援助、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を通じた意思決定支援、そして看取りとその後の家族支援・グリーフケアまで含みます。最期にはエンゼルケア(死後のケア)も担います。医師・薬剤師・栄養士・心理士・ソーシャルワーカー・リハビリ職などとカンファレンスを重ねる、多職種チームの仕事でもあります。

3つの働く場は別物です

職場選びで一番大事なのがここです。ひとくちに緩和ケアと言っても、働く場は大きく3つに分かれます。

  • 緩和ケア病棟(PCU/ホスピス):専門の医師・看護師が受け持ちとなり、入院して24時間ケアを受ける場。ほぼ全室個室でプライバシーが守られる環境です。
  • 緩和ケアチーム:専用病棟を持たず、院内の各病棟を横断的に回診し、主治医や受け持ち看護師へ助言・支援(コンサルテーション)を行う形。一般病棟に入院しながら専門ケアを受けられる仕組みです。
  • 在宅緩和ケア:診療所・訪問看護ステーション・訪問介護などがチームで担う。私が関わってきたのはここです。面会制限なく、住み慣れた自宅でご家族と過ごせるのが強みです。

同じ「緩和ケア」でも、夜勤の有無も関わりの深さもまったく違います。求人を見るときは、まずどの類型なのかを最初に確認してください。

働き方(夜勤・休み・残業)

緩和ケア病棟は24時間ケア体制のため、日勤・夜勤の交代制が一般的です。一方、緩和ケア外来や在宅(訪問看護)は日勤のみという選択肢もあり、施設によっては日勤常勤や夜勤専従の相談ができるところもあります。

急性期のように急変や救命処置が頻繁に起きるわけではなく、落ち着いた環境でじっくり関わるケアが中心です。残業自体は比較的少なめとされますが、看取りの機会は多く、その場面では急な残業が出ることもあります。急性期に比べて在院日数が長く、一人の患者さんと時間をかけて関われるのはこの領域ならではです。

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給与の傾向

数字は傾向として読んでください。看護師全体の公的平均(厚生労働省 令和7年 賃金構造基本統計調査ベース、ジョブメドレー引用)は、月給 約36万5,900円、賞与 約85万6,400円で年収 約524万7,200円とされます。同じ記事の集計では診療科別で緩和ケア科が約547万円とトップという数字も挙がっていますが、これは一媒体の集計であり、あくまで傾向として受け止めるのが安全です。

実際のところ、レバウェル看護は「給与は他の診療科と大きな差はない」と説明しています。差がつくのは主に夜勤手当(夜勤月4〜6回で月3万〜6万円の上乗せが一般的)と資格手当(緩和ケア認定看護師・がん看護専門看護師で月3万〜5万円のケースも)です。求人事例では常勤で年収 約480万〜530万円のレンジが見られますが、地域差が大きいので実額は必ず各求人で確かめてください。「緩和ケアだから高給」ではなく、公的平均に夜勤・資格の手当が乗る構造、と理解するのが現実的です。

向いている人・しんどい面

向いているのは、「その人らしい終末期」を大切にできる人、傾聴力があり患者さん・ご家族の心情に配慮できる人、多職種と円滑に連携できる人、そして死や悲しみに向き合う精神力と自分なりの死生観を持てる人です。ご家族から「最後のお誕生日が忘れられない日になったよ」と感謝されるような、直接届くやりがいが大きい領域でもあります。

一方で、しんどさも正直に書きます。ある看護師は「『死ぬのが怖いよ』という患者さんに『大丈夫だよ』としか答えられなかった」と無力感を語り、別の声では「死が前提にある患者さんしかいないので、辛い」とも。理想を高く持って入るほど、傾聴の時間が取れない現実や、体調の悪い患者さんからの厳しい言葉とのギャップに苦しみやすい面があります。緩和ケア認定看護師を対象とした学会調査(日本緩和医療学会誌)では、回答者137名中 約51%にバーンアウトの兆候が見られたと報告されています。感受性が強い人ほど、患者さんやご家族のつらさを自分のことのように抱え込みやすい。だからこそ、デスカンファレンスやチームで感情を共有する仕組み、セルフケアが本当に大切です。求人選びでも「支える体制があるか」は必ず見てほしいポイントです。

資格や注意点

資格は必須ではありませんが、強みになります。緩和ケア認定看護師(日本看護協会)は、看護師実務5年以上(うち3年以上は緩和ケア分野)に加え、約6か月・600〜800時間の認定看護師教育課程を修了して認定審査に合格する必要があり、5年ごとの更新です。教育課程の費用は約100万円程度とされます。がん看護専門看護師は、がん看護経験を含む実務5年以上と大学院修士課程2年が必要で、費用は150〜300万円程度。奨学金や教育支援制度を設ける施設もあります。

配属の目安としては、多くの病院が一般病棟で2〜3年の臨床経験を経てからという方針です。ただし緩和ケア特化の施設では「やる気があれば職員がサポート」という未経験可の受け入れもあります。求人を見るときは、教育体制・デスカンファレンスの有無・夜勤回数・在宅併設かどうかを確認軸にすると失敗しにくいはずです。

おわりに

緩和ケアは、じっくり関わる看護の深さと、死と向き合う重さが同居する仕事です。私は病棟の内側にいた人間ではありませんが、在宅で看取りに関わってきた実感として、この領域は綺麗事だけでは務まらないし、だからこそ得るものも大きいと思っています。関心があれば、求人を扱うエージェント等で実際の条件を確認してみるとよいでしょう。
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