
私は大阪府柏原市で訪問看護ステーションと障害福祉の事業所を運営しています。うちの事業所は、松原市などで「移動支援」のサービスにも入っています。移動支援というのは、障害のある方が外出するときに、そばで付き添って支える仕事です。ガイドヘルパーと呼ばれることも多いですね。
この仕事、実は「福祉の仕事に興味はあるけど、いきなりフルタイムは難しい」という方の入口として、とても入りやすいものだと感じています。私自身、もともとは介護のヘルパー出身なので、資格を取って現場に一歩踏み出すときの気持ちは分かるつもりです。今日は運営する立場から、移動支援がどんな仕事なのか、そして働き方として何を知っておいてほしいかを、正直にお話しします。
移動支援とはどんな仕事か
移動支援は、ひとことで言えば「外出の同行支援」です。障害があって一人での外出が難しい方に付き添って、安全に、その方が行きたい場所へ行けるように支えます。市町村によって範囲は違いますが、たとえば次のような外出が対象になることが多いです。
- 買い物や日用品の調達
- 余暇活動(散歩、映画、イベントなど)
- 役所の手続きや通院などの用事
ここで、多くの方が想像する「介護」のイメージと少し違うところがあります。もちろん体を支える場面や身の回りのお手伝いもありますが、移動支援の中心は「その方の外出に一緒に行く」ことです。ずっと施設や自宅の中でお世話をするのとは、空気感がかなり違います。相手のペースに合わせて街を歩き、行きたい場所へ一緒に向かう。介護というより「外出のパートナー」という感覚に近いかもしれません。
同行援護・行動援護とは別物
紛らわしいのですが、視覚障害のある方の外出を支える「同行援護」や、行動面での支援が必要な方向けの「行動援護」は、国が定めた別の制度です。移動支援とは仕組みも資格要件も違います。求人を見るときに名前が似ていて迷うことがあるので、「これは移動支援なのか、同行援護なのか」を確認しておくと安心です。ここでは深入りしませんが、頭の片隅に置いておいてください。
市町村の事業だからこそ、知っておいてほしいこと
これが一番大事な話です。移動支援は、障害者総合支援法の中の「地域生活支援事業」に位置づけられていて、実施主体は市町村です。つまり、国が全国一律で決めている制度ではなく、市町村ごとにルールが違います。
- 対象になる方の条件
- 利用できる時間数の上限
- 単価(事業所に支払われる報酬)
- 必要とされる資格や研修
こうしたものが、住んでいる自治体によって変わってくるのです。隣の市では使えたのに、こちらの市では条件が違う、ということが普通に起こります。ですから、これから働きたい方も、「移動支援全般はこうです」という情報だけで判断せず、必ずお住まいの市町村や、応募しようとしている事業所に直接確認してください。私が運営していても、市町村ごとの違いには毎回きちんと目を通します。ここを飛ばすと後で話が食い違うので、面倒でも最初に確かめるのが結局いちばん早いです。
働き方 — 週1日・1件数時間から
移動支援の魅力は、働き方の柔軟さにあります。1件あたりの支援は数時間単位のことが多く、「この日のこの時間だけ」という入り方ができます。フルタイムで縛られるわけではないので、次のような方に向いています。
- スキマ時間で福祉の仕事をしてみたい
- 本業や家事の合間に、週1日だけ働きたい
- 介護職の方が、休みの日に副業として入りたい
傾向として、外出のニーズは土日や祝日に多く集まります。平日は学校や日中活動があって、休みの日に「出かけたい」という希望が増えるからです。ですから、平日フルタイムの仕事がある方でも、土日だけで無理なく続けている方は少なくありません。逆に言えば、土日に動ける人はとても重宝されます。
時給の傾向
気になる時給ですが、これも市町村や事業所によって差があるので、ここで具体的な金額を書くのは避けます。ただ、傾向としてお伝えできるのは、移動支援のガイドヘルパーは、同じ福祉・介護のパート仕事の中でも比較的しっかりした水準になりやすい、ということです。実際、私の地域(柏原)の相場をまとめた記事でも、ガイドヘルパーの時給は介護パートの中で上限に近い位置でした。マンツーマンで責任のある支援だからこそ、という面もあると思います。具体的な金額感は、お住まいのエリアの相場記事を見て、そのうえで事業所に確認するのが確実です。
良さと、しんどさ
いい面ばかり書くのはフェアではないので、両方を正直に書きます。
まず、しんどさの部分。移動支援は「外」が仕事場です。天候に左右されますし、暑い日も寒い日もあります。街中では予定通りにいかないことも起こります。電車が遅れる、行きたかったお店が閉まっている、体調が急に変わる。そういうとき、その場で判断して動くのは自分です。マンツーマンなので、責任もひとりで背負う場面があります。ここは正直、気を張る仕事です。
一方で、手応えははっきりしています。利用者さんの「行きたい」を、実際にかたちにできる仕事です。一人では難しかった外出が、自分が付き添うことで叶う。買いたかったものを買えた、久しぶりに好きな場所へ行けた——その瞬間の表情に立ち会えるのは、この仕事ならではです。施設の中だけでは見られない、その方の生き生きした顔が見られます。私は、そこにこの仕事の芯があると思っています。
どうやって入るか — 資格と研修
入口になるのは、多くの場合、市町村が指定するガイドヘルパー(移動支援従業者)の養成研修です。数日程度で修了できるものが多く、福祉未経験の方でも受けられます。また、介護職員初任者研修を持っている方は、それを入口に移動支援へ入れる場合もあります。
ただし、ここでも「市町村・事業所によって求められる資格が違う」というルールが効いてきます。ある自治体では特定の研修が必須でも、別のところでは初任者研修でよかったりします。ですから、まずは働きたいエリアの事業所に「未経験ですが、どの研修が必要ですか」と聞いてみるのが、いちばん確実な一歩です。研修費用の補助がある事業所もありますので、あわせて尋ねてみてください。
よくある質問
Q. 福祉も介護もまったくの未経験ですが、大丈夫ですか?
大丈夫な方は多いです。移動支援は、専門的な医療行為をするわけではなく、外出の付き添いが中心です。もちろん研修は必要ですし、最初は先輩と一緒に入るなど段階を踏む事業所も多いので、いきなり一人で放り出されるわけではありません。人と関わるのが好きで、相手のペースを大事にできる方なら、経験の有無よりもそちらのほうが向き不向きに効いてくると感じます。
Q. 体力に自信がなくても務まりますか?
支援する相手や外出の内容によります。長い距離を歩く支援もあれば、近所への買い物中心の支援もあります。車いすの方の介助が必要な場合は、それなりに体を使います。事業所によって担当できるケースを相談できることが多いので、「体力面が不安なので、それに合った支援から入りたい」と正直に伝えてみてください。無理のない範囲で組んでもらえるはずです。
まとめ
移動支援(ガイドヘルパー)は、週1日・数時間から入れて、福祉の世界に踏み出しやすい仕事です。外出に付き添って、その方の「行きたい」を支える——介護のイメージとは少し違う、外での支援が中心になります。手応えははっきりしていますが、天候や現場での判断など気を張る面もあります。そして何より大事なのは、これが市町村の事業であること。対象・時間・単価・資格のすべてが地域によって違うので、興味を持ったら、必ずお住まいの市町村と事業所に直接確認してください。そこさえ押さえれば、スキマ時間から福祉に関わる、いい入口になると思います。
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