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先に大事なことをひとつ。保健師は「看護師免許」だけではなれません。看護師免許に加えて「保健師免許」の両方が必要で、どちらか一方では保健師として働けません。ここを誤解したまま「保健師=夜勤なしで安定した看護師の延長」と考えて進路を決めると、あとで足元が崩れます。まずはそこから正直に書いていきます。

もうひとつ正直に。私自身は行政保健師や産業保健師として働いた経験はありません。私のキャリアは病棟の看護と訪問看護、そしてヘルパー事業の運営が中心で、保健所や企業の健康管理室に身を置いたことはないんです。ですのでこの記事は、①私が調べた事実、②保健師の道に進んだ看護師仲間から見聞きしたこと、③採用や面接を通して人のキャリアを見てきた立場、この三つで書きます。一人称の武勇伝は語りません。

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保健師ってどんな仕事か

ひとくちに保健師と言っても働く場所で色が違います。数のうえでは保健師全体の約7割が行政保健師とされ、都道府県や市区町村に公務員として採用され、保健所や保健センターで働く人が多数派です。2022年時点の就業保健師は約60,299人で、うち市区町村が31,104人、保健所が10,333人、都道府県が1,821人という内訳が紹介されています。

仕事の中身は、地域まるごとが相手です。母子保健(妊娠届の受付や母子健康手帳の交付、乳幼児健診、家庭訪問)、生活習慣病予防や特定保健指導といった成人・高齢者保健、うつなど心の相談にのる精神保健、結核や新型感染症への対応まで幅広い。個人ではなく「地域の健康課題」を見て施策を立てる、スケールの大きな公衆衛生の仕事だと当事者は語ります。

保健所と市町村では役割が分かれます。ざっくり整理すると次のとおりです。

保健所 市町村(保健センター)
設置主体 都道府県・政令市・中核市 市区町村
役割 感染症・難病・結核・精神保健など広域で専門的な対応、地域全体の課題把握 住民に身近な保健サービス。乳幼児健診、子育て支援、生活習慣病・介護予防

行政以外にも、企業で社員の健診やメンタルヘルス対策・作業環境の指導を担う産業保健師、学校で健康管理をする学校保健師、病院附属の健診センターなどで働く病院保健師といった道があります。

働き方(夜勤・休み・繁忙期)

ここが看護師との一番の違いかもしれません。日勤中心で夜勤なし、土日祝休みのカレンダー通りが基本とされ、有給も取りやすいという声が多い。オンコールに追われる訪問看護を経営してきた私の目には、生活リズムが整う働き方はとても魅力に映ります。子育てや家庭と両立したい人には合いやすいでしょう。

ただ「暇な仕事」ではありません。感染症の流行や災害が起きると一気に激務になります。新型コロナのパンデミック時には日付が変わる直前まで働いた部署もあった、平常時でも忙しい部署はサービス残業が多い、という指摘もあります。公務員=定時で楽、と単純化しない方がいいです。

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給与の傾向 ※要確認

数字はメディアがまとめた傾向値で、実額は自治体の給料表や地域手当で変わります。参考として、保健師全体の平均年収は約551万円(月給約36万円+年間賞与約118万円)とされ、行政保健師(公務員)はおおむね約400〜600万円程度、ボーナスは4.5カ月分程度が一般的と紹介されています。初任給の所定内給与は約269,900円が目安とされます。

注意したいのは、夜勤手当がない分、看護師より年収で約50万円ほど低くなる傾向という指摘があること。月収差にすると3〜4万円ほどです。安定と引き換えに、夜勤で稼いでいた分は落ちる、という前提で見た方が現実的です。都市部ほど水準は高い傾向とされます。

向いている人・しんどい面

向いているのは、目の前の一人だけでなく「地域全体の予防」に関心が持てる人、コツコツした事務やデータと向き合える人、生活リズムを整えて長く働きたい人だと感じます。実際、当事者も「行政ならではのスケールの大きな公衆衛生に関われる」とやりがいを語っています。

一方でしんどい面も率直に。仲間や当事者の声で繰り返し出てくるのが「臨床スキルとは別物」という点です。デスクワークや事務が多く看護技術は身につきにくい。新卒からずっと行政だと、あとで病院看護師に戻る際のハードルが高い、という現実があります。「一度辞めると再就職が難しいと就活中に知らなかった」という後悔の投稿もありました。給料のきつさより、キャリアの柔軟性を失うことを最大の後悔に挙げる人がいるのは、重い示唆だと思います。

ほかにも、異動で希望部署に行けるとは限らない、住民対応やクレームで疲れる、保健指導率のノルマのプレッシャー、年功序列で変革が好まれない組織文化、といった声もあります。採用を見てきた立場から言うと、これらは「合う人には気にならず、合わない人には効く」タイプのしんどさです。自分の性格と照らして考えてほしいところです。

資格と採用の注意点

冒頭の繰り返しになりますが、看護師免許+保健師免許の両方が必須です。取得ルートは主に二つ。4年制大学などで両方の受験資格を得て卒業後に両国家試験を受ける「同時取得ルート(最短4年)」か、看護師免許を取ってから1年制の保健師養成課程に進む「段階的ルート」です。保健師国家試験は年1回、例年2月上旬に実施され、合格率は例年90%以上とされます。

そして行政保健師は資格だけでは足りません。各自治体の公務員採用試験(保健師枠)に合格する必要があります。ここが壁で、関東の看護師・保健師採用倍率は1〜32倍(2022年度調査)と、都心部ほど高競争です。年齢制限も自治体ごとに異なり、経験者・社会人枠を設けるところもあります(例:兵庫県は経験者59歳まで受験可の例)。募集要項で受験資格・年齢・日程を必ず確認してください。

最後に

保健師は「夜勤なしで安定」という言葉だけで語れる仕事ではありません。予防と公衆衛生という大きなやりがいがある一方で、臨床から離れることの重みも実際にあります。私は現場にいた人間ではないからこそ、良い面だけを盛らずに両面を並べました。あとは、あなたが自分の性格とキャリアの向きで判断してください。もし関心があれば、求人を扱うエージェント等で実際の条件を確認してみるとよいと思います。
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なお、フーレジョブは職業紹介事業者ではありません。特定の施設や自治体をご紹介・推薦したり、選考を調整したりはできません。応募はそれぞれの施設・自治体の採用窓口へ直接お願いします。ここに書いた数字や制度も更新されるので、最終的には志望先の一次情報でご確認ください。

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