
「グループホーム」という求人を見たとき、まず知っておきたいこと
先にお伝えしておくと、私はグループホームで働いた経験はありません。看護師として16年、そのあいだにヘルパーからキャリアを始め、いまは大阪府柏原市で訪問看護と障害福祉の事業所を運営しています。グループホームは、利用者さんの住まいの選択肢として、また連携先として外から見てきた立場です。だからこの記事は「中で働いた体験談」ではなく、「連携する側から見えている姿」としてお読みください。
そのうえで、求人を探している方にまずお伝えしたいことがあります。ひとくちに「グループホーム」と言っても、実は性格の違う2種類があります。ひとつは高齢の認知症の方が暮らす認知症対応型グループホーム(認知症GH)、もうひとつは障害のある方が暮らす障害者グループホーム(共同生活援助)です。求人票では同じ「グループホーム」の4文字でも、対象も職種名も中身がかなり違います。ここを混同したまま応募すると「思っていた仕事と違った」となりやすいので、まず整理していきます。
認知症グループホームとは
認知症グループホームは、認知症の診断を受けた高齢の方が、5〜9人ほどの少人数で共同生活を送る住まいです。制度上は「地域密着型サービス」に位置づけられていて、原則としてその市町村に住んでいる方が利用する、地域に根ざしたタイプの施設のようです。
大きな特徴は、大規模な施設のような「お世話をされる場所」ではなく、あくまで「家庭的な環境で暮らす場所」を目指している点です。1つの生活単位を「ユニット」と呼び、そのユニットごとに顔なじみの職員と入居者が日々を過ごします。大人数の食堂で流れ作業のように食事、という形とは、だいぶ雰囲気が違うと聞きます。
認知症GHの介護職の仕事
認知症GHの介護職の関わりで特徴的なのは、掃除や調理、洗濯といった家事を、職員が代わりにやってあげるのではなく、できる範囲で入居者さんと一緒に行うところだと言われています。野菜を切る、洗濯物をたたむ、そうした日常の動作そのものが、認知症の方にとっては生活リハビリ的な意味を持つ、という考え方です。「介助」というより「一緒に暮らしを回す」に近いのかもしれません。
少人数をじっくり見る形なので、大きな施設で大勢を担当するのとはリズムが違います。一方で、生活の場である以上は夜勤があります。夜間は職員の人数がぐっと少なくなる事業所が多いようで、そのぶん一人で判断する場面もある、という話は連携先からもよく聞きます。応募の際は夜勤の体制や人数を確認しておくと、入ってからのギャップが小さくなると思います。
障害者グループホーム(共同生活援助)との違い
同じ「グループホーム」でも、障害者グループホームは制度も対象も別ものです。こちらは障害福祉サービスの「共同生活援助」で、対象は認知症の高齢者ではなく、障害のある方です。私自身が障害福祉の事業所を運営している関係で、こちらは連携先というより地続きの領域として見ています。
職種の呼び方もひとつのポイントです。認知症GHは「介護職員」ですが、障害者GHには「世話人」という職種があります。食事の準備や生活のサポートを担う役割で、必ずしも介護の資格が前提ではない事業所もあるようです。夜間の支援の形も一様ではなく、職員が泊まる形もあれば、緊急時に駆けつける体制で対応する形もあり、事業所によってかなり幅があります。障害のある方の暮らしを支える仕事全般に関心があるなら、障害福祉のヘルパーという選択肢とあわせて見てみると、自分に合う関わり方が見えてくるかもしれません。
外から見てきた実感
連携する立場で両方のグループホームを見てきて思うのは、少人数だからこその良さと難しさが、どちらも同じ「少人数」から来ているということです。
良さのほうは、入居者さんとの関係が深くなりやすいこと。名前も生活習慣も好みも分かったうえで関われるので、一人ひとりに向き合いたい人には合っていると感じます。一方で難しさのほうは、職員も少人数だという点です。日々顔を合わせるメンバーが限られるぶん、その人間関係が自分に合うかどうかが、働きやすさをかなり左右するように見えます。ここは求人票の数字だけでは分からないところなので、可能なら見学して雰囲気を確かめてほしいと、いつも思います。
看護師の関わり方
看護師の視点でも触れておきます。認知症GHは、看護師の配置が必須とはされていない事業所が多いようです。では医療的なことをどうしているかというと、外部の訪問看護が入る形で支えているケースがよくあります。これはまさに、私たち訪問看護が日ごろ連携している形そのものです。
つまり看護師にとっては、GHの職員として中に入る道もあれば、訪問看護の側から外の連携先として関わる道もある、ということです。「施設に常駐するのは違うけれど、暮らしの場に医療の目線で関わりたい」という方には、訪問看護から入るという選択肢も知っておいてほしいと思います。
給与の見方
給与については、具体的な金額をここで断言するのは避けます。夜勤の回数、地域、法人の規模、資格や経験によって幅が大きく、同じ「グループホーム」でも事業所によってかなり違うからです。目安を知りたいときは、お住まいの市ごとの相場をまとめた給与相場のページを見ていただくのが早いと思います。求人票の額面だけでなく、夜勤手当が別か込みか、というところまで見ると実態に近づきます。
向いていそうな人
あくまで外から見てきた印象ですが、次のような方には合っているように思います。
- 大勢を効率よくさばくより、少人数とじっくり関わりたい人
- 介助そのものより、一緒に暮らしを組み立てる関わりに魅力を感じる人
- 認知症の方の、その日その日の変化に丁寧に付き合える人
- 夜勤を含めた働き方に無理がない、あるいは折り合いをつけられる人
- 職場の人間関係を、見学などで自分の目で確かめてから決めたい人
よくある質問
認知症GHと障害者GH、未経験でも応募できますか
どちらも未経験から入る方はいるようです。ただ、認知症の方への関わり方や、障害のある方の支援の考え方は、入ってから覚えていく必要があります。資格要件も職種によって違うので、応募先に確認するのが確実です。
看護師の資格はグループホームで活かせますか
活かせる場面はあります。ただ認知症GHは看護師配置が必須でない事業所も多いため、「看護師として」の求人か「介護職として」の求人かは、募集内容をよく見てください。医療の目線を活かしたいなら、訪問看護から連携先として関わる形も含めて検討する価値があると思います。
まとめ
「グループホーム」の求人には、認知症の高齢者が暮らす認知症GHと、障害のある方が暮らす障害者GHの2種類があります。対象も職種名も夜間の体制も違うので、まずどちらのことなのかを確かめるのが第一歩です。共通しているのは、少人数だからこその深い関わりと、少人数だからこその人間関係の重さ。どちらも数字では見えにくい部分なので、気になる事業所は見学して、自分の目で確かめてから決めていただければと思います。私は中で働いた経験こそありませんが、連携先として見てきたぶん、暮らしの場としてのグループホームの良さは実感しています。
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