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結論から書きます。入職して3ヶ月、「辞めたい」「向いていないかもしれない」と感じているなら、それはあなたが弱いからでも、看護師に向いていないからでもありません。ほとんどの新人が通る、6月前後の"山"の上に、いまあなたは立っています。
私は看護師として16年、介護のヘルパーから始めて急性期病棟の三交代を経験し、その後は精神科の訪問看護で、心が折れてしまった方の隣に12年以上座ってきました。訪問看護ステーションを自分で立ち上げて、新人を採用し育てる側にも回りました。だからこそ、両方の側から言えます。いまのあなたのしんどさは、ごく普通のことです。
なぜ「いま」がいちばんつらいのか
入職から3ヶ月というのは、リアリティショックの山がいちばん高くなりやすい時期だと言われています。多くの職場で試用期間が終わり、「そろそろ独り立ちを」と求められ始める頃。まだ手が追いつかないのに、任される範囲だけが広がっていく。この重圧のかかり方が、6月前後にちょうど重なります。
そして、この落ち込みは案外長引きます。夏の休暇で一度リフレッシュできるかどうかが回復の分かれ目で、そこがうまくいかないと10月頃まで気分が沈みやすい。半年を過ぎて夜勤が本格化する秋には、また次の山が来ることもあります。つまり、いま苦しいのはあなたの努力が足りないからではなく、"そういう時期"だからなのです。
ちなみに、2024年度の日本看護協会の病院看護実態調査では、新卒採用看護職員の離職率は8.4%でした。約10人に1人弱です。裏を返せば、9割以上の人が、辞めたいと感じる波をくぐりながら続けています。調査によっては「1年目に辞めたいと感じたことがある人は8割近い」といった結果もあるほどで、その気持ちを持つこと自体は、まったく特別ではありません。
あなただけじゃない、という話
新人の頃の声を、私はたくさん聞いてきました。
「もう辛くて、帰り道に涙が止まらない」。「同期はすぐできるのに、自分ばかり怒られている気がする」。「人と比べては落ち込んで、心がすり減っていく」。「同期は定時で上がるのに、自分は毎日残業」。「先輩に聞きたいけれど、聞ける雰囲気じゃない」。そして――「自分は看護師に向いていないんじゃないか」。
どれも、私が現場で何度も耳にした言葉です。あなたがいま胸の中で抱えているものと、たぶんそっくりでしょう。それだけ多くの人が、同じ場所で同じように立ち止まってきました。あなた一人が特別に弱いわけでは、決してありません。
この山を越えるために、いまできること
育てる側から見て、はっきり言えることがあります。3ヶ月で一人前に見える新人なんて、いません。同期と比べる物差しそのものが、間違っているのです。比べる相手は、同期ではなく"3ヶ月前の自分"にしてください。あの頃できなかった採血や記録や声かけが、少しはできるようになっているはずです。
おすすめしたいのは、一日の終わりに「今日できたことを1つだけ書く」こと。ノートのすみでも、スマホのメモでもいい。「患者さんに笑ってもらえた」「昨日より手順を一つ覚えた」――小さくて構いません。落ち込んでいるときの頭は、できなかったことばかり数えます。だから、できたことをわざわざ言葉にして残すのです。
眠れない夜もあると思います。そんな時は、無理に寝ようと頑張らず、一度布団から出て温かい飲み物を飲む、明かりを落として好きな音を聞くなど、体をゆるめることを先にしてあげてください。仕事のことを考えて動悸がするなら、それは頑張ってきた証でもあります。
そして、夏の休みが取れるなら、一度きっちり現場から離れてください。職場から物理的に距離を置く時間は、思っている以上に効きます。
もう一つ、精神科の訪問看護で学んだことを渡します。しんどさは、信頼できる誰かに"言葉にして"外へ出すだけで、少し軽くなります。同期でも、学生時代の友人でも、家族でも構いません。抱え込んで一人で握りしめているうちが、いちばん重いのです。
それでも限界なら
ここは、育てる側としてではなく、心に寄り添ってきた一人の看護師として書きます。工夫を尽くしても、涙が止まらない、眠れない、朝が来るのが怖い――そんな状態が続くなら、我慢し続けて心を壊す前に、逃げていいんです。いますぐ辞める必要はありません。でも、"逃げ道を知っておくこと"それ自体が、心の余裕になります。
逃げ道は一つではありません。師長や先輩に配置を相談する、産業医や看護協会の相談窓口を頼る、そして選択肢の一つとして、いまの状況を担当者に話せる転職エージェントに登録してみる、という手もあります。すぐに動かなくていい。ただ「いざとなれば別の道もある」と知っているだけで、明日の一歩が少し軽くなることがあります。
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最後に
看護師の仕事は、できないことが当たり前の時期から始まります。折れそうになりながら、少しずつ進んでいく。それでいいんです。あなたのペースでいい。今日うまくいかなくても、それはあなたの価値とは関係ありません。
3ヶ月前の自分より、あなたはちゃんと進んでいます。折れながらでも、進んでいい。私はそう思っています。