処遇改善加算は給与にどう乗るのか|届出する側の経営者が解説
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「処遇改善手当」って結局なに? 届出する側の私が正直に説明します

求人票を見ていると、給与欄に「処遇改善手当込み」とか「処遇改善加算あり」と書いてあることがあります。介護や看護の仕事を探している人から「あれ、何ですか?」とよく聞かれます。私は大阪府柏原市で訪問看護と障害福祉の事業所をやっていて、この加算をもらって職員に配る側、つまり届出や配分の実務を自分でやっている立場です。だからこそ、外からは見えにくい仕組みを、なるべく素直な言葉で説明してみます。宣伝ではなく、求人票の読み方の話として読んでください。

処遇改善加算とは、ざっくり何なのか

ものすごく平たく言うと、国が「介護職の給料を上げたい」ために、事業所へ上乗せでお金を払う仕組みです。ただし国が職員一人ひとりに直接振り込むわけではありません。いったん事業所にまとまって入ってきて、それを事業所が職員に配る。この「配る」ところを私たちがやっています。

2024年6月から、それまで別々だった3つの加算(処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算)が「介護職員等処遇改善加算I〜IV」に一本化されました。区分はIが一番手厚く、IVにいくほど要件がゆるくなります。厚生労働省の調査では、この加算を取得(届出)している事業所は95.5%、一番手厚い加算Iを取っているのは45.7%でした(令和6年度介護従事者処遇状況等調査)。ほとんどの事業所が何らかの区分を取っている、というのが実感とも合います。

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給与のどこに乗っているのか

ここが一番聞かれるところです。同じ調査で、加算を取得している事業所の介護職員(月給・常勤)の平均給与額は、令和6年9月で月338,200円でした。その内訳がこうなっています。

項目 金額(月・平均)
基本給 192,660円
手当 97,980円
一時金(賞与等の月割) 47,560円
合計 338,200円

注目してほしいのは、手当が約9.8万円もあるところです。給与のうち、基本給とは別に手当で払われている部分がかなり大きい。処遇改善加算のお金は、この手当の一部として乗っていることが多いです。ちなみにこの平均給与額は前の年(令和5年9月)より13,960円増えていて、加算が実際に給与に反映されている面はあると思います。

なぜ基本給ではなく手当で払われることが多いのか

正直に言うと、事業所側の事情です。処遇改善加算は制度で、区分や要件が変わることがあります。もし全額を基本給に組み込んでしまうと、万一将来加算の額が下がったときに基本給を下げることになり、これは労働条件の不利益変更になってしまってまず動かせません。だから多くの事業所は、調整のきく「手当」の形で払います。これは事業所がずるいというより、制度の性質上そうなりやすい、という話です。

配り方は事業所によってけっこう違う

加算のお金をどう配るかは、要件の範囲内で事業所の設計しだいです。私が届出をしていて感じるのは、同じ加算区分でも配り方の色が出るということ。代表的なのはこの3パターンです。

  • 毎月の手当にして薄く広く乗せる(毎月の手取りが安定して見える)
  • 一時金(賞与)にまとめて年に数回で配る(月給は控えめでも賞与が厚い)
  • ベースアップ寄りにして基本給や固定手当を底上げする(長く働くほど効いてくる)

どれが正解ということはなく、事業所の考え方が出ます。だから求人票の月給だけを他所と比べても、実態は分かりにくいのです。

求人票でどこを見るか

私が求職者だったらこう見る、というポイントです。

  • 「処遇改善手当込み」の表示:提示額に加算分が含まれているのかどうか。込みなら、そのぶん基本給部分は低めのことがあります。
  • 基本給との内訳:総額が同じでも、基本給が高いほうが残業代や賞与の計算に効きます。
  • 賞与の計算基礎:賞与が「基本給の◯ヶ月」なら、基本給が低いと賞与も小さくなります。手当が厚くても賞与に反映されないことがある、ということです。

面接で聞いていい質問

「加算のこと聞いたら図々しいと思われないかな」と心配する人がいますが、私は聞かれても全く失礼だと思いません。むしろ制度を分かって応募してくれている印象を持ちます。たとえばこんな聞き方です。

  • 「処遇改善加算の区分はいくつを取っていますか?」
  • 「加算分は毎月の手当ですか、それとも賞与に反映されますか?」
  • 「提示の月給に処遇改善手当は含まれていますか、別ですか?」

ちゃんと届出している事業所なら、区分も配分方針も答えられるはずです。答えに詰まる場合は、そこも一つの判断材料になります。

最新情報の確認について

ひとつ強く言っておきたいのは、この制度はよく変わるということです。2024年に3加算が一本化されたばかりですし、区分の要件も改定されます。この記事の数字は令和6年度の調査に基づくもので、あなたが読んでいる時点では変わっている可能性があります。応募や転職を判断するときは、必ず厚生労働省やお住まいの自治体の最新情報、そして応募先の事業所の実際の説明を確認してください。ここに書いたのはあくまで仕組みの考え方です。

よくある質問

Q. 処遇改善手当は看護師にも付きますか?

この加算は主に介護職員を対象とした制度で、配分の中心は介護職です。ただし一本化後は、事業所の判断で介護職以外にも配れる柔軟な部分があります。看護職に付くかどうかは事業所の配分設計しだいなので、これも面接で確認するのが確実です。

Q. 加算があると給料は高くなるということですか?

そうとは限りません。加算はあくまで原資で、配り方や元々の給与水準は事業所ごとに違います。加算を取っているかどうかより、総額と内訳、そして配分方針をセットで見るほうが実態に近づけます。

まとめ

処遇改善加算は、国が介護職の給与を上げるために事業所へ上乗せで払い、それを事業所が職員に配る仕組みです。平均給与33.8万円のうち手当が約9.8万円という構造からも分かるとおり、多くは基本給ではなく手当の形で乗っています。配り方は事業所しだいなので、求人票では総額だけでなく内訳と賞与の計算基礎を見て、気になれば面接で区分や配分方針を素直に聞いてください。それは失礼な質問ではありません。そして制度は変わるので、判断の前に必ず最新の公的情報を確認する。届出する側にいる私からのお願いは、この一点です。

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